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或夜

夜、壁側に顔を向けて寝ていました。
と、突然背中を、どん、と突かれたのです。
吃驚して振り向こうとしましたが、
またもや、どん、と突かれてしまいました。
衝撃は先のよりも強く、私は息が止まりそうな
そんな感覚を覚えました。
何とかして、振り向きたい。
誰が何故こんなことをするのか知りたい。
そう思って懸命に振り向こうとするのですが、
やはり、どん、と突かれてしまうのです。

思い切って勢いをつけて私は振り向こうと、
そうした矢先、
私の頭を鷲掴みにして、ぐるりと、
半回転捻られたのです。
首がゴキ、となんともいえない嫌な鈍い音を
立てて回りましたが、私はこれで私を突く人物を
見られるのだと、わくわくしながら目を上げました。
すると、
背中を、その方は、最初は平手で突いていました
が、
今度は拳で、強く、どん、と殴ってきたのです。
私は痛さと衝撃で涙が出そうになりました。
そして、さらにその方は、足で背中を、どん、と
蹴ってきたのです。
どん、どん、どん、どん、どん。
どん、どん、どん、どん、どん。
どん、どん、どん、どん、ぼき。

とうとう、私の背中にある背骨という鎧は、
無残にも砕けてしまいました。
悲しくて涙がこぼれました。

しかし、なおもその方は背中を蹴り続けます。

どん、ぼき、どん、ぼき、どん。
どん、ぼき、どん、ぼき、どん。
どん、ぼき、どん、ぼき、ぐしゃ。

蹴破られた背中に、足がめり込みます。
私の中の柔らかいものに、足がめり込みます。

私の口から、紅い雫がつつと垂れ始めました。
それを見たからか、その方は私を蹴るのを止め、
手を伸ばしてきました。

「見てると気が散るな」
と呟くや否や、またもや私の頭を鷲掴みにすると
ぐるりと半回転まわしたのです。

これで見えなくなってしまう。
私は回された首の痛みよりも、見えなくなる寂しさ
それを悲しんでいました。
が、
首が回った途端、
目の前は真っ暗になりました。
おそらく、一回転した為に、機能に異常をきたしたの
でしょう。

真っ暗闇の中、
どん、ぐしゃ。どん、ぐしゃ。どん、ぐしゃ。
音だけが響きます。
私はその子守唄を聞きながら、深い眠りに着いたのです。

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